羊たちの烙印/ホロウ・シカエルボク
死体のように冷たくなった身体を薄っぺらいコートでくるみながらほとんどの店がシャッターを下ろした真夜中の繁華街を歩いた、まだ秋が来たばかりなのにその夜は縮み上がるほどに寒く、そしてそれはもしかしたら気温のせいではなかった、脳裏にはいつのことなのか思い出せないほど昔の、取り立てて思い出すこともないような場面がスクリーンセーバーのように気まぐれに入れ替わりながら繰り返されていた、死を思うことは異常だという話をどこかで読んだ、もしかしたら誰かに聞いたことだったかもしれない、けれど今の状態ではそれが本当はどこから得たものなのかはっきりと思い出すのは難しかった、昨夜もろくに眠っていなかったし、今日は一日中うろ
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