秋いろ/ひだかたけし
 
用水路沿いの道筋が
黒い墓石に至る所
彼岸花が群れを成し
赤々と赤々と
咲いている

移動していく車列に乗り込み
ぼおっと凝視する私の脇を
過ぎ行く赤い点々と
迎える黒い御影石
天涯孤独の身の上を
あからさまに映し出す

(秋の大気に含まれる
甘酸っぱい香に包まれて
記憶は茫洋と流れ出て)

用水路沿いの道筋が
黒い墓石と接する所
彼岸花が群れを成し
赤々と赤々と
揺れている








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