高嶺の果実/こたきひろし
高嶺の花は高値なのです
どんなに品が良くて奇麗に咲いていても
貧しい若者には
貧しい若者でなくても
離れた所から眺めるしかありません
そんな場合でも
涎を垂らしたり
唾を飲んだりしても差し支え有りません
それは下品じゃなくて
人間の本質だからです
高貴なご婦人が召使いの男によろめいて
乳房と恥部を晒したりしてしまうのも
人間の本質に根ざしているからでした
官能小説家がいるのですから
官能詩人がいても不思議はないでしょうね
作品に低級も高級もないでしょうよ
低級な読者もいるし
高級な読者もいるんですから
高嶺の果実も
熟してしまえば
いずれ地に堕ちて腐るでしよ
そうなってから
拾っても遅くないのかも知れないですね
そうなってから拾われても です
全ては
人間の本質なんですから
どんなにあらがいても
逃げられません
ね
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