秋耕と幻想/道草次郎
 
自分に少し安心し、また、僅かに気が咎めもしましたが。

 そこには、とりどりな世界の模様が広がっていました。
 まずは虫です。これはたぶん蛾の幼虫でしょうが、カブト虫の幼虫を二回りほど小ぶりにしたのが、鍬による覆しのせいで何匹か見受けられました。それらは青白く薄気味の悪い姿を陽に晒し、いかにも眠そうな感じでした。
 それから、ゲジゲジでしょうか。数え切れないほど沢山ある脚が、波打つように、掘り起こされて間もない土の勾配を這って行きます。その一本一本が、純粋な目的な為に躍動しながら、黒い起伏を滑るようにいく様は、シンプル過ぎる言い方ですが、凄く不思議です。そして、ちょっと嫌な気もします。これ
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