秋耕と幻想/道草次郎
秋、畑を耕すことを秋耕と云うそうです。晩秋や初冬に植え付けをする作物の為の下拵えを、土にほどこしてやる必要があるのです。苦土石灰をばら撒いて、鍬を入れ、もう一度石灰を力士が塩を土俵にまくように放ってやります。そうやってから一週間ほど時を置き、堆肥や、場合によっては油かすなどを土中に混ぜ込みます。この油かすというのが案外高くて、ホームセンターなどで買うと、畳二枚の面積に使う分だけで千円は掛かる計算です。
とにかく、作物を育てようとするとお金が掛かる、というのは予てからの自分の思い込みで、トラックごと肥料を仕入れたりできる農家に比べたら、自分のような半分余技でやっているようなのは、全く採算が
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