伝わらなかったから、ちゃんと伝えたいという事/おろはげめがね
 
全然、夜にならないから、電気を消して、窓を全部閉めた。
長い間、どこへも行かず、誰とも会わず、この世の端っこの方で、人生が終わるのをじっと待っていた。
僕の人生はまだ始まったばかりだった。
以前、友達と呼べるのは、オズという男の子だけで、彼はとびきりの劣等生だった。
オズは、ひきこもりの僕をバカにしていたが、僕も頭の悪いオズをバカにしていた。
でも、お互い他に遊ぶ相手がいないので、たまに会って遊んだ。
僕の家で。
ある日、僕はオズに対して居留守を使った。
理由はなかった。ただ、居留守を使った。
オズはいつまでも帰らず、夕暮れは永遠に続くかと思われた。
全然、夜にならなかった。
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