宝焼酎/草野大悟2
でいる酒を一口だけ飲んで言った
やっぱ 宝のお湯割りが一番旨か
オヤジの顔には確信が貼り付いていた
二○一三年一月一七日
オヤジは死んだ
八七歳六ヶ月の大往生だった
オヤジはいつも
おれは、絶対、人工呼吸器なんかで生かされたくはない
洋一郎、余計な延命は絶対するな
よかか、分かったか
おれは、コロッと死にたい
焼酎飲んで眠るように死にたい
長ごう生きすぎたバイ
宝を飲みながら繰り返しそう言っていた
その言葉どおり
去年の正月、歩けなくなって入院した病院で
入院の次の日
眠ったように死んだ
宝焼酎を飲んで
眠っているような死に顔だった
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