喪失/こたきひろし
人波に飲まれたら、人塵に流れ着く
首都東京
その四文字に魅入られて最寄りの駅からJR線の電車に乗った
地方に産まれて、地方に育ち、最終学歴は地方だった
卒業すると地元に居場所を失った私は、東京に就職した
十ハ歳から二十一歳迄、千葉寄りの街 小さな洋食屋の厨房でコック見習いをして働いた
が、その仕事に辛抱出来なくなって、三年で地方に逃げ帰る
だけど次男坊の私に、実家はいつまでも居られる場所ではなかった
その時代、家は長男が継ぐものと決まっていたから
私は余計者扱いだった
父親が仕事を探してきた
縁を手繰り寄せて
そして私は同じ県内の県庁所在地の街
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