別に詩人なんてもんになったつもりもない/ホロウ・シカエルボク
夜は燻りながら、いのちの方角へと転がっていく
俺はそれを見つめながら、道を知らない子供のような
顔で
燻製になった魚の心情を体内で模写する
よどみの中、腐りかけた水の中
まるで親指大の腫瘍だ
朝と昼と夜が
回転灯のリズムでから回る
腐り落ちた肉のあとの
断面に残されたかけら
語れ
語れよ
お前こそが声を発するべきじゃないのか
意味の無い音がこぼれ落ちる
朽ちた木に残された僅かな葉がそよぐように
業だけのために生をめくってきた俺には
眠ることが不可能な夜というものが必ずある
脳味噌の片隅に仕込まれた爆弾
俺はせっつかれて指先を動かす
フレーズがフ
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