偽せた薬/
桜蜜
今喉を通り過ぎた錠剤は
甘いラムネ
薄い桃色の
あなたへの恋心を詰め込んだような
淡くて甘くて儚い薬
わたしの心臓まで溶け込んで
指先にまであなたを感じさせてくれる
ひとりぼっちの夜には
この薬が欠かせないの
夢の先でもあなたに逢うためには
味気ない睡眠導入剤なんかより
よっぽど良く眠れるわ
空が明るい内はあなたを瞳で見ている
太陽が顔を隠したら脳が焼き付けたあなたを浮かべる
そうしてわたしの一日は
あなた色
さあ、
今喉を通り過ぎた錠剤は
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