胡乱な夜長 他/道草次郎
 
「胡乱な夜長」

秋も深まり
寒くて夜眠れない
碌に考えるのも適わず
こういうのを
随伴現象説というのかと
思った
毛布をもう一枚
押し入れから出してきて
今引っ被っている
少し
あたたかくなり
考えられる
人心地がついた
随伴現象説が
今しがた排除された気がするのは
寒さで
頭も悴んでいるせいか
この
やたら便利に動く
身体とはなんだ
浮薄な哲学者は
底の抜けたバケツを
頭に
かぶったまま
夜長に
暖まりつつある



「一茶」

こうしてたまたま
おっこちて
ころんころんと転がって
かと思いきや
とまったり
また転がり
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