真面目なあの人を笑わせたい/ふるる
 
か、洗うのか迷っている
小さな子供が眠っているのにも気づかない
いつまででも見ていられる頬
梅雨入りの匂いは好きなものの一つ
墓にも持っていきたいくらい

さっきメールを打つ指に見とれた
伸ばし気味の指
無駄がなくて良かった
長文のメールは誰宛なのか
教えてくれないし
言っても分からないという
難しい事は分からない
子供には難しい
そうやって目を塞ぐから
一人で歩けなくなったんだ
慣れた道と慣れた階段でも
迷ったり踏み外したりできるのは
才能の一つ
なかなかできることじゃないし
誰も真似してくれない
偶然同じバスに乗ったけれど
うつむいてメールばかり打っ
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