コロナ小説/花形新次
 

「ホーリー、ホーリー」と女性の名を呼ぶ声だった。
「さては、おまえ・・・。」
「ごめん、ごめん、今ダイハード2観てたんだよ。」
「・・・・・・。」
なんだよ、今どきダイハードって(怒)。
そう口に出す寸前にミュートをクリックしていたので
彼に聞こえることはなかった。
私は気を鎮めるためにコーヒーカップを口に運んだ。

ベランダには見たこともない
瑠璃色の鳥が舞い降りて来て
コンクリートの隙間を啄んでいた。
私はその姿を見ながら
テレワークで彼を殺すことが出来ないか、本気で考え始めていた。














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