洪水のあとに/道草次郎
 
に歩いた、そうだ。そして、人生の新しい局面へ乗り出したのだと、ホッファーはその本で語っていた。

これに自分を比すわけではないが、最近ぼくは歩きながらたくさんのことを考えたり、道端の花を眺めたり、鳥の囀りを聴いたりしたいと願うようになった。

この日の目的は、去年の水害で流されたたくさんの大事なものの跡にニョキリと生えてきた、とある新店舗へと行くことだった。
ワークマンプラスである。
このワークマンプラスでぼくは、来月から行くことが決まった職業訓練で必要となる作業着と靴とを買うつもりだった。

店内に入ると気取らない二人の若い女性店員がいそいそと働いて
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