洪水のあとに/道草次郎
復旧に成功したコンビニと交差路の角にあるガソリンスタンドだけは、嘗ての活気を殆ど取り戻しつつあるようだった。
卑猥な単語を堂々とその看板に掲げるショッキングピンクのアダルトショップだけは、何故か、きわめて元気よく営業していた。これまでこんなにも、電光掲示板に表示された「営業中」の字が自分に納得されたことはなかった。しばしその前で立ち止まってしまった程である。
むろん目的は他にあり、ぼくは歩を進めた。最近はなるべく歩くように心掛けていて、車をどこか適当な場所に停め、そこから小散歩をする事がよくある。歩いていると、車に乗っていては味わえない様々な発見がある。
沖仲仕の
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