海と比喩/道草次郎
 
どちらか
からの
黙らせる
海嘯(かいしょう)
それがあり
その後に
ながい
沈黙がおりる

匿(かくま)われる
月夜に
ひたひたと
寄せる


堪えきれず
たくし上げてしまう
暗幕の先に
まぶしくもないのに
目を細めてしまう
?(えい)がいる

比喩による
縫合が
運命なのは
そんな瞬間を
泡の数だけ
抱える
から

類語の
海原のどこにも
糸や針
毒クラゲでさえ
きっと
見つかりは
しない

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