詩三篇/道草次郎
かった
怒りの温度はじつはそんなに高くもなく
争いの時は存外に静かだった
悲哀も同じ
たんたんとした中にそれは体育座りをしていた
夜はいつだって明けたし
朝はそれなりだった
でも
何かだけが
何か一筋の細い糸のようなものだけはそこには張られていた
と思う
それだけは
これから書こうとする詩とかなり近似値だろうと
そう思う
自信はあまりないけれど
つまらないね
やめようか
けどね
これもぼくだな
ここでやめようが思い直してまた書こうが
こういうのに
ひとりで決着をつけた人間の物語をぼくは今
図書館に探しに来ている
だから
相も変わらずだ
思い出す
むかし君のために借りたかぎ針編みの本や
たくさんの絵本
それから
あの日
君の見えない所で後ろ手に捨てた
カリル・ジブラーン
戻る 編 削 Point(2)