平凡でも平和でもない日常/こたきひろし
 
誰も殺したりはしない
誰からも殺されたくはない

なのに
過去
一度や二度は自分を殺したくなった事実

それは
周囲や社会から 危うく押し潰されそうになった
現実からの逃避思考だった

けれど
自死はけして賢明な選択とは言えない

どんなに辛くても
死ぬ覚悟があるならば
おそれるものは何もない

乗り越えて必死に生きなさい
と言うのは
天からの声

誰もそれを言ってくれる人はいなかったのだ

こころを晒け出し
信頼を寄せられる人に恵まれなかったのは
私の不徳の致す所に違いない

コミュニケーション能力の欠如
けして孤独をひたすら求めた訳ではなかった

それはまるで
蟻地獄に引きずり込まれていくようだった

過去に一度や二度は
自分を殺したくなった事実

それを大切にして
一つの勲章にして

自分を引きずってでも
生きていってやる

その
決意が
天からの声じゃなくて
人からの声じゃなくて

自分の喉を振り絞り
声を張り上げる
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