私と言う存在感のない人間/こたきひろし
学生時代も社会人になっても
一貫して
私は権力と呼ばれるチカラを持った事が有りません
ずっと誰かの下になって
誰かの指示や命令に従ってきました
時には誰かの思惑に振り回されて
自分を見失う事が多々有りました
その誰かは私の上に立っている存在で
私はその存在が手にしているリモコンでたえず操作されていました
情けないし
悲しいし
やりきれないし
そんな負によりかかりながら
その屈辱を跳ね返し
一度でもリモコンを奪い取って
誰かの優位に立って操作した事が有りません
ずっとずっと
負け犬のままでたえてきました
甘んじてきました
そしてそれはいつの間にか
自分を護る鎧になっていました
鎧は重くじめじめしています
鎧は重くじめじめしていますが
最早
脱ぐことが出来ません
情けなさ
悲しさ
やりきれなさ
の
底なし沼から
足が抜けません
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