いずれすべては跡形もなくなってしまうけれど/ホロウ・シカエルボク
 
けている、調和したそばから腐敗していく、ジムジャームッシュ、あんたは正しい、物言いとしてはえらく陳腐だったけれどね…そう、だけどさ、エンターテイメントってもんに陳腐さはつきものだ、それに完全に染まってはいけないが、できもののように残しておかなければいけないことは間違いない、ただ俺に言わせれば、そんなものよりもカウンターであるかないか、そっちの方が大事なことだぜ―ふたつの目は引き潮にのっていずこかへ流れ去って行く、新しい波に乗って、新しい、けれどさっきとなにも違うところのない、ふたつの目がなんとなく俺のことを覗き込む、自分の目が見つめられるか、書き続けるというのはそういうことだ、それを恐れ、それに怒り、いらだち、抗うからこそ生き続けられる、俺には光も闇もない、裏も表もない、そのあらゆる明度、あらゆる感情、あらゆる心がたったひとつの俺だということでしかない、だから俺はこうして純度の高い吐瀉物をぶちまけ続けるのさ、拾い上げて、臭いを嗅いでみなよ、抜けられなくなるか、二度と近づけなくなるか、どっちかだと思うぜ―。


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