夏のトンネル/クーヘン
　

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トンネルに入る瞬間、お前の瞳孔は開く。
嘗て獣だった頃、お前は俺を殺ったのさ。


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僕の陰茎は暗闇に包まれすぎている。
なので、包み隠さずに打ち明けます。


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夏のトンネルに幽霊が８．１人いる。
その半端な０．１人とは僕の生き霊。


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可愛いあの子がくれたパインアメ。
その穴を舌先で舐めてごめんなさい。


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産道を一人歩いていた、いつかの夜。
ぼんやりと見える月明かりを頼りに。


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バウムクーヘンをたくさん繋ぎまして。
誰かの心へ、トンネル開通できたなら。


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心細い夜、その細い心を針の穴に通す。
取れかけていたシャツの釦、付け直す。


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夜道にて影を落としてしまいました。
影も落ちないほどの、暗い夜道にて。


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暗く長いトンネルにも飽き飽きだね。
青葱みたく、小口に刻んでしまおうか。


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トンネルを抜けると、９月になっていた。
トンネルの出口は、夏の出口なのだった。

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