危険な賭け/こたきひろし
思い返せば君をアパートで初めて抱いた夜
それは危険な賭けだったかも解らない
なぜなら
その時私は君の体の中に押し入り
いっとき体を制服したかっただけで
それ以上の感情の昂ぶりには至らなかったからだ
なのに私は何度も欲望に前方を見失いながら
愛してる
アイシテル
と
うわ言のように口にしたのだ
それはとても便利な魔法の呪文
愛してるアイシテル
を繰り返し囁やけば
全てがゆるされてしまうと言う
誤解と錯覚は
自己に暗示を呼び込んで
いつの日か砂漠に揺れる蜃気楼
愛情とは
奇跡がもたらした
綱の上の倒立歩行か
思い返せば
君を初めて抱いた夜
あの肉体の昂ぶりが愛情へとすり変わる
迄の過程に
迷いに迷い続けた葛藤
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