残熱/道草次郎
 


Uさんはしばらくメモに眼を落としていたがやがて徐に眼を上げると、ぼくがあと数ヶ月も俳句をやれば自分など簡単に超すことができるだろうと言った。ぼくはぼくでそんなことはありませんと言ったけれど、その話はそれ切りだった。


翌日、いきなり上司に呼び出されるとホームヘルパーの立場を弁えない行為は今後控えるようにとの注意を受けた。そして本来の介護技術がなおざりにされている現状への皮肉もそれとなく添えられた。


その時のぼくはもう毎日が苦しくて、それでも何とか頑張らなければならないとは思っていたので、上司からそういう叱責を受けたことで何だか色々なことがさらに悪い方向へと行くのではないかと
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