堆積する、あらゆる羽で世界は作られる/千月 話子
 







木目光る床
交差する白い線の模様を
上方から光り差す
埃の渦が照らす
体育館という名の構造物の
心地良い響き


背中の隆起が皮膚の下で
グズグズと動き回るので
 跳ねる、走る、笑う、 無意識
抑制した羽の飛んで傷つかないような
天井の丸さが 知らず 優しい


宙に浮かぶ 綿毛 羽毛

鳥の種類など分からないとして
目の前を揺れる擬似催眠で
君らの背中と同調する そして
時折 あらゆる場所で
羽を広げてしまうんだ

感情の起伏が同調して
抑えきれない快感に
羽ばたき 羽を散らすんだ





そして
誰も気付かぬうちに
私らの羽を忍ばせて
世界は密やかに構築されていく
という 話。







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