あかるくなりたい/道草次郎
 
世界に放っておかれる幸い、自由、それはとてつもない空虚のような自由。


明るい人間になりたい。こんなふうな文章もいやだ。夕飯の支度をした。切れ味の悪い包丁でキャベツとピーマンを切った。ピーマンの種は指でこそげ取り、キャベツの芯も短冊にした。回鍋肉の炒め油がTシャツを汚したけれど、サザエさんが始まる前には仕上がった。母も、苛立っている。みんな、たぶん夕飯の支度に疲れている。ぼく一人が足掻いているのではない。料理をして、掃除をして、洗濯をしよう。当たり前のことを、しよう。当たり前のことを、喜んで、しよう。


要するにぼくの心はいつも取り散らかっていて、その取り散らかっている心を
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