あかるくなりたい/道草次郎
リチュアル系の本も遠慮なく傍らに居座る。人差し指を小口にかけ、ためらい、戻す。ココニイテハイケナイ。
腹痛を催しひどい下痢をする。汗だくとなり、考えが宙を漂う。投げ遣りだった時、肉体苦は寧ろ張り詰めた精神の一時の避難所だった。汗みどろの中に空白を求められるが有難く感じられた。そういう考えが倫理に悖ろうとも、ともかく、それが事実だった。しかし、今は少なからず状況は違う方向へとずれ込んだ。すると、忽ち下痢の苦しみが形而下のものとなる。釈迦の入滅。畏れ多くもその最期を想う。凄まじい腹痛に苛まれた釈迦はアーナンダに語る。悪い茸を供した者が後に責めを負うこと無きよう、それから、めいめいが怠りなくつ
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