あかるくなりたい/道草次郎
 
通り掛かったら何となく図書館に寄ってしまった。昼過ぎから曇りだしていた。空は近場の山に近付くにつれどんどんオソロシイ藍色に黒ずむのがわかった。薄桃色のコスモスが幼稚園の庭で生温い風に泳いでいた。ちらちらと舞う蜆蝶も心做しか色が抜けて見えた。夏も疲れている。

田舎の小さな図書館。棚から棚へ。裏口の磨りガラスにはいつもエノコログサが顔を押し付けている。あのエノコログサが引き抜かれた夏を知らない。隣接する剣道場から少年の気合い声が聴こえる。大きい街の図書館のあの気圧される様な書架の佇まいは此処には無い。比較的雑多にとり混ぜられた分類項目達。哲学本と心理学本が窮屈そうにその肩を接し、スピリチ
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