ヒスイカズラの人魚/
よしおかさくら
波うたたせられる長い髪の
ヒスイカズラの人魚
鎖帷子みたいに刺青
押し寄せるまぶたの波に
息の上下を眺めている
?わたしだけの?
世界の秘密をあげます
はるか昔には
水があったかもしれない
凪いでいる月に
死の星に
生き物の気配はしない
降り立つ人間も機械音すら纏えず
自分を手鏡で確認しては
人類の希望を数えている
深い谷を越えて
影を敬遠して
明るい方へ意識を向けて
戻る
編
削
Point
(1)