8月27日 付箋/道草次郎
たけれど、ホッファーも言っている通り希望というのは長持ちしない。希望ではなくて、勇気が必要だ。これもホッファーが言っていた。たしかに、すでに今日一日の内でさえ心模様は変わってしまっている。それは、自覚される。太陽の位置によって自分の世界観など簡単に変わってしまう。
やはりホッファーのように生きたいなどというのは欺瞞かも知れない。人は、自分の生きたいように生きられる訳ではなく、誰かのように生きられるということも勿論なく、ただ、目の前の生を生きるだけなのかも知れない。そうすることの中にしか、確かさや勇気を培う苗床は齎されないのではないか。勇気を望むのなら、まずは目の前にあるものの輪郭を指でなぞる事から始めなければ、と思う。
箴言が意味を成すのは歩いている時だけだという考えにとらわれている。だが、歩きながら箴言に触れるのは自分には至極難しいと気付く。箴言がそっくり頭に入っていないと、結局は、血肉として通わないということか。
なんとなく旧約聖書の事を考える。ホッファーの酔いがなかなか覚めないようだ。
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