稜線/山人
 
ぬ間に月曜日は訪れ、この日はブナの百年生森林の毎木調査であった。私は樹高測定の一〇メートル伸縮式棒を持ち、用材に使用できる部分の幹長をはかる役目だった。樹林帯ですべて日陰だったが、風はなく蒸した。
 二十二日朝、皮膚の異様な痒さで目覚めた。見てみるとあちこち赤く粒々が出来ていて、ひどい痒みだ。局所的な痒みの掻きむしり行為は快感ですらあるが、いたるところが痒いのは苦痛でもあり、さすがに夕方皮膚科クリニックを受診。医師によると、蛾(現在は毛虫)の類の棘が風で飛んできたりして衣服に付着してもそういう症状になるのだという。あとで調べるとチャドクガの幼虫のようだった。今年のような雨天が長く続いた年には大発
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