BURN/ホロウ・シカエルボク
虫どもが敷き詰められた海で俺は溺れている、もがくたびに軽いやつらが水しぶきのように中空に跳ね上がる、全身に、特に、目の端と口のあたりに、耐えがたい恐怖と不快感がある、溺れそうなのに口を開けることが出来ない、それをしてしまったら終わりだ、悲鳴すら上げられない、呼吸すら満足にすることは出来ない、まだ飲み込まれてもいないのに―狂気は叫びとなって肉体から逃げ出そうとする、そいつを抑え込むたびに脳の中の血がすーっと下がっていくような気がする、ガサガサと、ガチガチと、ぬるぬると…それぞれの特性を十分にアピールしながら虫どもはまとわりついてくる、噛みつこうとしないのはせめてもの情けというものなのだろうか?俺
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