夜の始まりに甘いケーキを/ホロウ・シカエルボク
 

湿地帯に埋葬されたしらばっくれた不浄物霊たち、最期の呼吸をメタンガスのように吐きあげて黄泉へと消えていく―夕暮れ、赤トンボの群れが爆撃機のように中空を彷徨い、俺は眼窩を刳り貫かれた女の幻影を見ていた、古臭い木造の潰れた煙草屋の前で、油絵の具のように引き延ばされた鳩がアスファルトを呪っている、もうすぐ夜が来る、それは運命よりも避けられないことだった、アルコールは忘れるには足りず、覚えておくには心許なかった、ほんの少しの衝撃で膝の関節は外れて、マリオネットのように地面に、土塊のように崩れてしまいそうな感じだった、とはいえそれは、もしかしたらアルコールのせいなんかじゃないのかもしれなかった、いや、ア
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