フロントガラスにちいさな蝶が止まった/ただのみきや
 
ない砂浜へ出る
海硝子をひとつ
子安貝の白い殻をひとつ
ひろっては
この現実まで持ち帰る





終止符

澄んだ夕空を
トンボが往くようになると
もうすぐ夏は
太陽に背を向けて項垂れる向日葵のよう
光はどこか油絵じみて
記憶は焦げ付いている
ものごとはそそくさと準備をし
葬儀もなしに捨てられて
積まれた死骸
さらにポトリと
疑問符に感嘆符
終止符を重ね
そぞろ歩く
風は他人行儀
草葉の乾いたふるえ
粒子の荒い大気はモザイク





自問自答

時代と結べば遺物
瞬間を映せば幽霊
――論より証拠?
「見ない
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