お金が無いのは何も無いに等しい/こたきひろし
 
筈だった自分が
人生の大きな大きな買い物を
してしまったのだ

家族を幸せにするために
幸せにしてあげたいために

とは言っても

時間の経過のなかでいつのまにか麻薬は切れだしていた
だから
真実はなかみの薄い
張りぼてみたいな幸せなんだと気づき始めながらも
そこにはもはや
後戻りできない自分がいたんだ

経済の破綻は火を見るより明らかだったのに
人生一回だけだから
もうやり直せない

諦念にそそのかされながら

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