夢幻の話/道草次郎
 
ので脳とも言える)が何事かを夢みるとしたら、あるいは夢に似た何らかの作用が彼らのうちに起こっているとしたら…。もっとも複雑な神経組織の集合体を有さない生き物に夢は不要という説もあるにはあるが、実際どうなのかを誰が知り得るというのか。また、微生物やミクロン単位の生物たちが、その体内における分子作用を引き金にして、彼らにとっての夢にあたる何かを体験していないとどうして言い切れるのか。

情報のランダムな集積は適切な整理を必要とする、これは情報処理における基本だろう。シナプス結合の密度の具合などから記憶の取捨選択が行われる必要があるという訳だ。たとえば昆虫の脳の特徴は、処理シナプスの殆どが体節な
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