夢幻の話/道草次郎
担いでいた猟銃を取っ組み合いのさなかに強奪したかと思うと、床に仰向けに倒れもがいている宮崎駿の顔面めがけて執拗にその銃弾を撃ち込むという決着の付け方だった。顔は原型を留めないほどに破壊され、周辺には脳漿や肉片、よく判らない組織片などが至る所散らばっていた。その決闘を見物していた野次馬の最前列に、もう一人の仕事着(エプロン)姿の宮崎駿が居て、彼の真新しい革靴には薄ピンク色の肉片がべっとりと付着していた。それを認めたそのもう一人の宮崎駿は発狂せんばかりの叫び声を挙げる。そして、何処かへと走り去ってしまうのだ。 黒山の人だかりの後方でその一部始終を目撃していた自分の頭に浮かんだのは、先刻エプロン姿の宮崎
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