夢幻の話/道草次郎
節など体のいたる器官に分散していることだ。それぞれ独立した形式でそれは存在しており、したがって一匹の虫の見る夢は、無数の体節や触覚、視覚、聴覚…などが作り出す夢の混合体となるだろう。翔く夢はさながら万華鏡の中に墜落するようなものだろうか。菌類にいたっては記憶を司る何らかの機能を有していることが確認されている。だから、キノコも夢を見るかもしれない。胞子として浮遊する夢か、それとも胞子を放散する側の夢か…そのどちらを見るのだろうか。そして、どんな風にその夢を経験するのだろう。そもそも人間は感じない夢というものを想像出来ないから、キノコの気持ちなどは解らない。
「生物と無生物が希求すると
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