Terminal Frost/ホロウ・シカエルボク
部脱いで姿見の前に立ってみた、苦労してあちこちを眺めてみたが、やはり傷らしきものは見当たらなかった―ずっと昔からあって、いままで気づかなかったというだけのことかもしれない、自分の住処の壁なんて意外と注意深く眺めたりはしないものだ、仮説としてはそれが一番適当なもののように思えた、だとしたらその傷はもう塞がっているだろう…ふと、ここしばらくの間でそんな怪我をしたことがあっただろうかと考えてみたが、どうにも思い出せなかった、詩が書ける程度の出血だ、ちょっと擦り?いた、というような傷では決してないだろう―誰の血だろうか?という考えがふと頭をよぎった、自分自身に心当たりがないのなら、自分自身の傷からの血で書
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