淋しい金魚/
千波 一也
淋しい金魚は
ひらひら、きれい
冷たい水の
いちばん冷たいところを
その身に負った
見事な絵の具で
ぬくめて渡る
淋しい金魚は
なんにも言わない
わたしにわかる言葉など
ひとつも放らず
ただ美しく
黙って
涼を縫ってゆく
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