昇天/あらい
 
らせ、うつし鏡として、神雷に撃たれ、狐憑きの夜光虫を抱いて
 これがほの甘い私なのだろうか。
 金平糖と尿瓶に花散らかして、朽ちらばして結ばれた幻想に蹴躓いた偶然が、奴隷に酔って集った背徳だとしても、急ぎ正しき方に旭とも名を呼んでくださいます
 ついてゆくことしか馬車馬の軸も導きも弾かれぬ、枯れ葉が舞う道ですら惹かれ、高揚する死した躰が軽く浮く、魂とも萌えてしまう心など曖昧であってこそ開かれるものです、故。
 枝垂れ童子の羊角が膨らんでは折れ、碧風と紡涸れた天を塞ぐ庇の襞の紡ぎ、秘除けにも少しばかりその腕でアナタに孵す
 それがどこか遠くまで翔け、美しい文をぶちまけて暮れると絹糸で仕切られた泣きそうな面をそおと引き剥がして見せれば、らくに擡げた首から上が、知らぬ糸目で赤き血を惹いた口先だけの八重歯が響き、僕の白き首筋にちくりと妖艶に刺し、百舌鳥色の痕をふたりに謳わせたと、奇跡のまち針で停る夢の夜はひとつき。
 自由に殺された女王蜂の背にともに出会いと怨念と明日を迎え、総てを失いながら地に迎い無惨にも羽ばたいた

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