昇天/あらい
 
 四十九日後の傷んだ薔薇で仕切られた安らかな本能の実りから墓場までを数える。独房にくるまれた赤い爪先、藁にもすがる白鷺の悼みが今持って渇いて死ぬ
 草木色の水の中の眠りから醒めた終の鉛管に重吹く桜よ
 ほら、星屑のハニービーンズのしとどまりは壊れた僕が僕であるために確かに、咲いている花は簡単に抱かれてしまう訳、後悔の香箱の中身だけを白い木蓮の渇きが取り出された、重みのないいつものシリカゲルは鈍く
 置いてけぼりで駄々を捏ねる赤い糸の魂を眠らせ、私の手の内側に潰されたような、愚かしく音のない世界でつぎはぎだらけの口を縫う。おやすみ、と僕達の蹴鞠は繰り返し汚泥を撥ね、五月雨に喪われた鬣をも凍らせ
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