未日記/道草次郎
実相はおそらく、現実の活動やそこから発せられる波紋のような影響、その影響によって変化し続ける行為、その行為が遡及的に及ぼしていく影響の総体だろう。そして知識もまた現実の中の人間を通って全体へと波及する。知識も行為も混淆して一体となるからそれらは引き離せない。
世界は大きな混沌とした何かで、ぼくたちはその中でただ何事かの行為をなすのみである。ある時は本を読み、またある時は瞑想にすら耽る。それらの何もかもが本当で、何もかもが嘘であり、しかしたしかなことが一つだけある。それは、たしかなことは一つもないという人を喰ったような結論だ。
ゴッホの自画像を観ていると、ぼくは時々この人を喰ったよう
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