イザベラのこと 5/ジム・プリマス
も、愛が見つけられず、かたっぽだけの精神で、彷徨いつづけていた。イザベラと出会って初めて、その寂しさ、その悲しみ、そのイタミ、から解き放たれて、僕の精神は子供のころのように、柔らかくて、まんまるで、傷一つない、まっさらのままに、ゆっくりと、だけど、とどめなく、還元されてゆくのだった。
日本から遠く離れた、最果ての河北の地で、ようやく僕は紛れのない愛を、イザベラの瞳の底に見出したのだった。これが運命だとすると、僕はなんて幸運だったのだろう。けっこうな時間が流れた、今でも、僕はそう思い続けている。この想いはこれからも変わることはないだろう。
イザベラから愛された記憶は、今も僕を守り続けている。それは僕からイタミや悲しみを遠ざけ、生きてゆくために必要な勇気を与え続けている。
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