仕掛け花火のような/こたきひろし
 
の人が
実の父親なのか
或いは
父親以外なのか
思いだそうとして
叶わないのはなぜ


そこに
母親の記憶はなかった

父親の死後に
私はある事実を知る事になる

父親は再婚だった
最初の人は
最初の子供を死産した

戦前の医療は遅れていた
母親も間もなく亡くなってしまった
それは
まるごと
儚く消えてしまった花火みたいだった

その後
父親は再婚した
それが私の母親だった

もし
最初の結婚が破綻しなければ
私はこの世界に存在しない

それは仕掛けられた花火だったかもしれない
私は火花のように溢れ落ちたのかもしれない



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