仕掛け花火のような/こたきひろし
 
仕掛け花火が好きだった

真夏の一夜
打ち上げられて 一瞬 大輪の花を咲かせて
儚く消えて仕舞うような花火よりも

その夜
私は幾つだったんだろう

子供だった

その夜
私は何処にいたんだろう

見も知らない所へ
初めての土地へ連れて来られた

川原だった
水の匂いと水の音がしていた
筈なのに

花火見物の沢山の人の歓声に飲み込まれていた
筈なのに

記憶は朧気になっていた

その夜
私は誰かに肩車されていた

火花が滝みたいに川に向かって落ちる様を
見たくて
肩車をせがんだのだ

その夜
私は肩車をされた

果たしてその人
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