失点/ホロウ・シカエルボク
 
じられた自然公園の門の前に立って、その中で動いているいつかの午後のまぼろしを少しの間見ていた、十一トンのダンプが轟音を上げて通り過ぎた、近くで夜間工事をやっているらしい、ふと、その先の川を渡って北へ歩けば、行き止まりの道へと行けることを思い出した、点滅信号を渡り、潰れた本屋の前を通って、自販機で買った缶コーヒーを飲みながら歩いた、行き止まりの道、俺が子供のころからずっとそこにある道、俺はその場所が好きだった、子供のころから何度も訪ねては佇んでいた、もう何年も行っていなかった、旧友に会うような気持で歩き続けたが、もうその道は無くなっていた、無くなっていて、広く、真っ直ぐなバイパスが貫かれていた、俺は空缶を捨て、その場にしゃがみ込んだ、そうして知ったのだ、この夜をしくじってしまったことを。


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