失点/ホロウ・シカエルボク
 
かって大きな口を開けて見せる、なにもかもが同じ、外灯には薄緑の虫がおぞましい臭いを立てながら群がっている、ドローンでこの街を少し上から眺めてみれば、そこかしこで黒い点がうようよしているように見えるだろう、醜悪な見世物に別れを告げて、人気のない産業道路へと歩いた、簡単なことだ、酒を飲ませる店がない道を選べばいい、うだるような暑さの毎日だが、夜の風はようやく心地いい感じになってきた、夜中まで開いているDVDの店でしばらく小さなケースのクレジットを眺めていた、持っているものとは違うパッケージの気狂いピエロが置いてあった、そっちのパッケージのほうがいいと思ったけれど、だからって買い直すなんて気にはならなか
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