イザベラのこと 3/ジム・プリマス
 
ても、どちらも我慢していると、彼女が自分で言ったからだ。
 普段のイザベラは文字どおり天使みたいな女の子だった。陰ひなたなく、他人が困っていれは必ず、ほっておかずに、手を差し伸べるし、ゴミが落ちていると必ず片づけるし、一度なんか、彼女と一緒に寮の食堂で二人で食事をしているとき、大学のアメリカ人の英語教師が一人でポツンと座っているのを見た彼女は、一人で食事をするのは良くないと言って、自分のテーブルに初対面のその男性を招いた。そういうことが自然にそつなく出来る女の子だった。
 善意の固まりのようなイザベラから見ると、無意味に、ある意味、無残に見えたのだろう、中国人たちが儀礼的に贈り物を、贈りあうのを見て「あんなのは本当の友情じゃない。」とよく言っていた。そのあとで僕の顔を見ながら「貴方は本当の友達だから。」と言ってくれるのが常だった。

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