イザベラのこと 3/ジム・プリマス
 
 イザベラは最初から、僕の外見ではなく内面を見てくれたのだと思う。要領が悪くて損ばかりしている僕の人の良いところや、外見からは分かりにくい、子供じみている傷つきやすい純粋なままの精神とか、他人には伝わりにくい優しさとか、普段は独りよがりで卑屈でシニカルな態度で隠している、僕の内面を見抜いていたのだと思う。
 イザベラを前にした僕ときたらまったくダメダメで、母親を亡くして彼女が泣いている時も、ハグしてあげたかったけど、肩に手をかけるくらいが精一杯で、日本人的遠慮が働いていたのだけど、そのことにも彼女が気づいていたことを僕は後で知った。後で日本人男性には、ハグをしてあげたくても、ハグをして欲しくても
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