短い読み物を2つほど・・・ 良かったら読んでください。/ベンジャミン
妹
次郎の妹は、だいぶ前から次郎にしか見えなくなっていました。
次郎は最初の頃、自分には妹が見えるのだと喜んでいましたが、お父さんやお母さんが、次郎が見て見てと言うたびに泣いてしまうので、自分の胸のうちに収めておこうと決めました。
最近は雪の毎日ですから、妹の着ている服の色と一緒なのでとても見えずらいです。
それでも、雪の色よりはやや薄桃色の頬や、黒目の大きな瞳がキラキラしているので、次郎はすぐに気づくことができました。
北の果てから聞こえてくるトタン工場のがったんがったんが始まると、それが合図のように呼ばれたような気がします。
それは風なのか音なのか香なのかわ
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